デジカメには「ファームウェアアップデート」というものがあります。
スマホのアプリが更新され、不具合や機能追加がされるのと同じようなものです。
僕が使っている富士フイルムのカメラは、発売年月が結構古い機種までアップデートが施されます。微々たるアップデートだったったりするんですが、それでもそのカメラを長く使おうと思う理由の一つになります。
で、今回僕が使っているGFX 50Sにアップデートが入りました。しかもかなり大きな。もう発売から3年経つ機種なんですが、メーカー公式に「シリーズ最大のアップデート」と言うくらいの内容です。
The biggest firmware upgrade in the history of the GFX System | ニュース | 富士フイルム Xシリーズ & GFX
その中でも特に嬉しかったのが、フィルムシミュレーションに「クラシックネガ」が追加されたこと。フィルムシミュレーションは他のカメラでもある、「スタンダード」「ビビッド」みたいな色表現を選べる機能のこと。富士フイルムのカメラの場合それが往年のフィルムをベースにしたもので、この色表現の素晴らしさが富士フイルムのカメラの一つでもあります。
使ってみたかった「クラシックネガ」が搭載され、新しくカメラを買い替えたような気分に。4本のレンズで色々撮ってみたので、感想と作例をお届けします。
クラシックネガについて
「クラシックネガ」は、最近出たフィルムシミュレーション。2019年に発売されたX-Pro3に初搭載されました。その後X100V、X-T4に搭載。
色味は富士フイルムのスタンダードなフィルムである「SUPERIA 400」がベースらしい。このフィルム、もう国内では売っていないんですが・・・写ルンですもこのフィルムのはずで、日本人が慣れ親しんだフィルム色だと言えます。
このフィルムシミュレーションの色味がとにかく良くて、僕はずっと使ってみたかった。それがこんな形で実現されるとは・・・!
フィルムシミュレーションBKTで撮ってみました。左からクラシックネガ、クラシッククローム、PROVIAです。クラシックネガがかなり大胆なフィルムシミュレーションだということがわかります。
ちなみに「ETERNA」という映画用フィルムをベースにしたシミュレーションも、今回GFXシリーズに追加となりました。これも比較的新しいシミュレーションです。こちらもまた試してみたいなと思います。
4本のレンズで試してみました。
クラシックネガ、これまでで最も「フィルムらしいな」と感じるフィルムシミュレーションです。
純正レンズだけでなく、フィルム時代のレンズも試してみることにしました。
上から時計回りに、PENTAX 67用TAKUMAR 105mmF2.4、GF63mmF2.8 R WR(純正)、Minolta MD ROKKOR 58mmF1.4、Canon EF50mmF1.8 STMです。
EF50mmは比較的新しいデジタル時代のレンズですが、せっかくなので使ってみました。
作例はすべてjpeg撮って出しです。DRは100固定、WBは5300K固定で、シャドウやハイライトは写真によっては変更しています。一部ホワイトバランスシフトも使用。グレイン・エフェクトは強弱使い分け。
茅場町から人形町辺りまで歩き、迷ってたら清澄白河に着きました(笑)最後は門前仲町へ。2〜3時間ほど歩きました。
FUJIFILM GF63mmF2.8 R WR × GFX 50S × Classic Neg.
まずはこちらの純正レンズから行きます。
コントラストが高くて、シャドウの表現が独特です。露出は+2/3
左は露出+2/3、右が+2です。右側の方、「曇りの日のフィルム写真」って感じですね。ちょっとハイキーで撮った方がいいかも。
と言いつつ、ちょっと暗めな写真を撮ってしまう・・・。さすが純正、締まりの良い写真が撮れます。
正直AFは遅い。Xシリーズの35mmF1.4と同じく、全群繰り出しのレンズなので・・・。しかし画質はすこぶる良いです。結構コントラストが高い印象なので、調整した方が良いかも。
PENTAX S-M-C TAKUMAR/6×7 105mmF2.4 × GFX 50S × Classic Neg.
次は中判フィルムカメラPENTAX 67用のレンズ。50年ほど前のレンズです。
GFXで使用すると35mm判換算83mm相当になります。被写界深度が非常に薄く、ピン甘写真を量産してしまいました。お見逃しを〜
レンズが黄変しているので、さっきのGF63mmと同じWBで撮るとこんな感じになります。なのでWBシフトを使い、少し青を足しました。また、ちょっとコントラストを弱めたかったのでハイライト-2、シャドウ-1で撮影することにしました。
クラシックネガの話以前に、このレンズはめちゃくちゃ良いんですよね。とても好きなボケ方をします。
そしてクラシックネガとの相性は最高。
67で撮っているように、ハイキー気味で撮影。っぽくないですか?笑
左、ローキーも悪くないですね。
WBシフトで緑多めに振ってみた写真。やっぱこれくらいハイキーがハマりますね。
この全体的にピント迷子じな感じ!そしてちょっと暗めに撮ってしまったのに、写真屋さんがいい感じに露出上げてくれた感!笑
この日、めっちゃぽっぽ寄ってきました。
ちなみにPENTAX 67-EFマウントアダプタ+EF-GFXマウントアダプタでマウントしています。めちゃくちゃ重いです。
Canon EF50mmF1.8mm STM × GFX 50S × Classic Neg.
Canonの通称撒き餌レンズ。中古1万円くらいで購入できますが、写りはとても良い。
GFXで使用すると周辺はかなり落ちます。
TECHARTの電子接点付きのアダプターを使用しているので、オートフォーカスが使えます。
周辺落ちする分、トンネル効果のある印象的な写真に。これはジワッとシャドウを生かした写真が合いますね。クラシックネガにも合います。
このレンズは別日に自宅でも少し撮影しました。好きな感じです。
MINOLTA MC ROKKOR-PF 58mm F1.4 × GFX 50S × Classic Neg.
最後はミノルタのロッコール。今回使ったレンズで一番明るい。
サイズ感も良いし、写りも良い。周辺落ちも酷くないので、GFX用レンズとしても十分使えます。
このレンズも別日で撮影したものがあるので、そちらも掲載します。
外が晴れているときに自室で。発色が良いレンズなので、やっぱり晴れた日に使いたいですね。今回みたいな曇天も良いんですが。
後ピンになってしまったんですが、これくらいなら許容できる(笑)
やっぱり幼い頃からピントが甘いフィルム写真を見てきたからでしょうか。クラシックネガの色味であれば、多少のピントの甘さも味みたいに感じてしまう。
そういう面でも、マニュアルフォーカスが合います。微妙なニュアンスが出しやすいので。
いつもWBオートで使っていますが、デーライトフィルムを意識してWB固定で。
GFXとロッコールについてはこちらの記事で
オールドレンズ×GFXが更に楽しくなるアップデート
以上、4本のレンズでのクラシックネガ作例をお届けしました。
すっかり気に入ってしまいました。特にロッコールで使うのが好きでした。オールドレンズとすごく合うと思います。GFXは純正レンズをある程度揃えようとすると100万円コースですが、オールドレンズで楽しむ場合は意外とリーズナブルなので、そういうのもありかと。
クラシックネガで気をつけたい点として、コントラスト高いので、若干ギトっとしがちなところ(特に今回の曇天シチュエーション)。その辺はうまく調整して使っていけるといいなと思います。WBシフトでもかなり表情が変わります。色々と試しがいのあるフィルムシミュレーションです。
今回、晴天の日の写真をあまり撮れてないのが残念。仕事中に室内でパッと撮った写真がとても良かったので。
夕方から雨予定だったので、土砂降り撮ってやろうとカッパも持参してのですが、結局降らず・・・今後ブログやTwitterでいろんなシチュエーションの作例を載せたいです。
では!