富士フイルムGFXシリーズのレンズ「GF32-64mmF4 R LM WR」のレビューと作例をお届けします。
GFXで使うと35mm版換算で25-51mm相当となる、標準ズームレンズです。
F4通しで防塵防滴なのも嬉しいところ。そして単焦点レンズをつなげたような、驚きの写りの良さ(よくあるフレーズ)。作例多めでお伝えします。
レビューの前提として、僕は下記のようなユーザーです。
日常的なスナップがメイン
ライティング機材は使わない(知識がほぼない)
Xマウントレンズを主に利用してきた
ズームレンズはあまり使ったことがない
使用機材はGFX 50S
この前提で、作例と共に使用感などお伝えできればと思います。
GF32-64mmF4 R LM WRの基本スペック
基本スペック(仕様)は次の通り。
新品で30万円を切るくらいの値段。中古で買うと20万円を切ってきます(2021年3月時点)。中古がいいかな・・・
基本スペック | |
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レンズ構成 | 11群14枚 (非球面レンズ3枚、スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ1枚) |
焦点距離 | f=32-64mm (35mm判換算:25-51mm相当) |
画角 | 81°-46.3° |
F値 | F4〜F32 |
絞り羽枚数 | 9枚(円形絞り)・1/3ステップ(全19段) |
最短撮影距離 | ワイド端:50cm テレ端:60cm |
防滴・防塵 | ○ |
サイズ | ワイド端:ø92.6mm × 116mm テレ端:ø92.6mm x 145.5mm |
質量 | 約875g |
フィルター経 | ø77mm |
メーカー希望小売価格(税別) | 299,500円 |
外観
F4通しの2倍ズームという控えめなスペックですが、センサーサイズが大きいので流石にレンズも大きい。
絞りリングはXFレンズ同様金属製ですが、フォーカスリングとズームリングはラバー素材です。
マウント部付近にはGFバッジ。
レンズ口径は77mm。これまで買ったレンズの中で一番大きい。
付属のフードは花形。沈胴式なのでテレ端までズームすると全長がそこそこ伸びます。
GF63mm F2.8 R WRとの比較。GF63の方が太さも一回りほど小さく、重さも2/3ほど。
GFX 50Sにマウント。かなり大振りで、重さもあるけれど、個人的にはまとまりがあって好きです。
XFレンズ同様、絞り値がレンズ側で調整できます。Aポジションにすると絞りはオートとなり、これもXFレンズ同様。違うのがその左にCポジションができていて、これに設定するとカメラのコマンドダイヤルでの絞り調整が可能。ロック機構付き。
良いところ
良いなと思うところは4つ。
どの焦点距離でも単焦点のような写り
贅沢なレンズ構成もあってか、どの焦点距離においても単焦点レンズかの如く、素晴らしい写りをします。
写りと言っても色んな要素がありますが、総合点が非常に高い写りということにしておきましょう・・・。
ワイド端で撮影。歪みも気になることなく、素晴らしい色乗りと解像感。少しコントラストが強いと感じるかもしれません。
開放での写りもたまりません。
35mm版換算35mm付近。
どこまで入れようか悩むシチュエーションでも、f4通し・どこで撮っても良い写りという安心感からすぐに焦点距離をコントロールできます。
テレ端での撮影。35mm版換算50mm付近です。
ピントを当てた手前の花瓶の存在感と、テーブルの木柄、なだらかなボケがとても美しいです。
こちらの写真はピントピークをクロップしてみました(わかりにくい作例ですみません)。一本一本の朽ち具合がしっかりわかります。
1億画素のGFX100シリーズにも耐えうる解像度のレンズです。5000万画素でもこれくらいのクロップが余裕なわけなので、1億画素になるとどんなもんなんでしょう・・・。
フリンジは開放付近での撮影時にグリーンよりのものが出ますが、ここは気になったら編集処理ですぐに消せるレベル。
F10まで絞り込んでの撮影。ギュッとしまった写りです。ピント付近の解像は言わずもがな、奥のビルまでビシッと写り、雲のわずかなグラデーションも繊細に表現されています。
どこの写りも素晴らしいですが、個人的にワイド端の写りは特に好きです。
またテレ端の写りについては、単焦点レンズであるGF63mm F2.8 R WRと比べても遜色ない。若干GF32-64の方がコントラストが強い印象で、GF32-64の方が好みという方もいらっしゃるかもしれない。
防滴防塵
GFXの純正レンズって今のところ全て防塵防滴なので、このレンズに限った話ではないのですが。
僕はまあまあ水飛沫を浴びる状況で心置きなく使えたので、良かったなあと思っています。
AFスピード
インナーフォーカスでAFスピードも申し分ないし、精度も高い。
僕はGF63mm F2.8 R WRも使っているのですが、こちらは全群繰り出しのレンズ機構のため、AFについてはもっさり。それとの対比もあってか、このレンズ自体のAF性能には特に文句なし。
GFX50SはコントラストAFのみで厳しい場面もあるのですが、GFX100シリーズの場合はAF性能も大幅に向上しているので、更に快適に使えるはず。
微妙なところ
続いて微妙なところ。
デカくて重い(仕方ない)
もうこれに関しては仕方ないんですけど、やっぱりデカいし重いです。
GFX 50Sとセットで約1.8kgになるので、僕の場合は結構気合を入れないと持ち出せなかったです。
ただハイエンドレフ機に通しズームとかだと、近しい重さと大きさになるのかな。バケペンとかと比べると全然軽いです。
最新のGFX 100Sとのセットでも意外と重さは同じくらい(100S結構重いんですね)。ただ、全体的にコンパクトな印象ですね。こちらのボディであれば手ブレ補正もあるし、AFに関しても位相差AF・低輝度AFに対応してるので、対応可能な撮影シーンがかなり広がりそう。あれ・・・100S欲しくなってきた・・・
50Rだともっと軽いんですが、グリップが浅いので結構厳しいと思います。別売グリップなどつけるといけるかも。
寄れない
GFXのレンズはだいたい寄れないのですが。
最短焦点距離はワイド端が50cm、テレ端が60cmです。テーブルフォトとかで自分の食事を撮るのは中々しんどいかも。
向かいの席の食事を撮るくらいがちょうど良い。
ちなみにテレ端相当の単焦点レンズGF63mmは最短焦点距離が50cm、ワイド端相当の単焦点レンズGF30mmは32cm。
作例
このレンズで撮った作例を。だいたいLightroomで現像処理しています。
購入時の記事では、撮って出し作例を載せていますので、下記もご参考ください。
単焦点レンズ派も、一考の価値あり
僕は単焦点レンズが好きな人間です。なのでGFレンズも単焦点で揃えたかったんですが、、仮に35mm版換算の24mm域・35mm域・50mm域をGF単焦点で揃えると、中々チャレンジングな金額になります・・・。
購入時の記事でも書いたんですが、ボケについてはF4でも十分で、広角〜標準域までを抜群の写りで撮影できるこのレンズを最初の1本に選んで良かったなあと思います。
携帯性の問題から徐々に使用頻度が落ち、結局GF63を購入しましたが、最初に高い方(GF32-64)を買っておいた方が気が楽です。
GFX50シリーズは中古価格もこなれてきましたし、これからプロ・アマ問わずGFXを検討する方が増えてくるんじゃないかと思います。僕は後者の人間で、日常や旅行で撮っていた写真をこのカメラで撮ったらどんな感じだろう?と思って買った人間です。その「どんな感じだろう?」を手っ取り早く体験するのに、良いレンズなんじゃないかなーと思います。
では!