「ほしいな」と思って調べ始めると、段々手に入るような気がしてくるもんです。はじめてライカを買った人も、そんな気持ちだったのかな。
この度、富士フイルムの中判デジタルカメラGFX 50Sと、GF32-64mmF4というレンズを購入しました。高い買い物ですし、そもそもアマチュアがこんなの持ってどうするの?的なカメラなんですが、買ってしまいました。欲しくなっちゃったんだもの。
今回は何故このカメラを買ったのかという話と、作例と共にファーストインプレッションをお届けできればと。
- なぜ中判デジタルなのか
- 富士フイルムという選択について
- FUJIFILM GFX 50Sという選択について
- GF32-64mmF4 R LM WRという選択について
- FUJIFILM GFX 50S + GF32-64mmF4 R LM WRで撮った写真
- まとめ
なぜ中判デジタルなのか
GFXのセンサーサイズはフルサイズの約1.7倍
理由は2つあって、1つは中判ならではの写真の立体感。これで自分の写真にブレイクスルーが見えたらいいな、という希望的観測によります。なんとなくファジーな画に飽きてきたのもあり、これでじっくり作品撮りをしてみたいなと思いました。この辺りのこと(センサーサイズが表現に与える影響)については、フォトヨドバシのレビューが詳しいです。
もう1つは、これから中判デジ時代が来る説。先取りしたいぞ・・・ってなりました。何となく、これ以上は中判デジを出すメーカーは増えない気もするんですが、ユーザーは増えると思います。特にハイアマ層で。ボディサイズも価格も現実路線になってきましたし。そんなわけで、どうせ買うなら先に買おうと思った次第です(笑)
というのが発端だったのですが、いつしか「ほしい。ただほしい。カメラほしい。」という頭になっていて、とても健全な脳みそで購入に至りました。「ほしい」気持ちがバーストすると、ほしい理由はほしいからだよ!!ってなるんですよね。理由は後から考えよう。
富士フイルムという選択について
中判デジタルの選択肢は、富士フイルムの他にハッセルブラッドやライカ、フェーズワン、PENTAXとあります。
価格や重さ、普段使っているカメラとの親和性(主に操作面)を考えると富士フイルム一択でした。
それでも価格的に厳しいところではあるんですが、マウントアダプターを介して他社製のレンズを付けることでレンズバリエーションを増やせると考え、良い塩梅を見つけた感じです。
フジの中判デジタルの特徴は、ミラーレスかつフォーカルプレーンシャッターということです。ハッセルはレンズシャッターのため、純正(めっちゃ高い)しか選択肢がないんですが、フジの場合は他のミラーレスでオールドレンズを楽しむように、いろんなレンズを楽しめます。それも、中判デジタルのフォーマットでです。
FUJIFILM GFX 50Sという選択について
富士フイルムの中判デジタル機は、GFX100S・GFX 50S・GFX 50Rの3種類あります。
▶3機種の比較はこちらから Cameras | 富士フイルム Xシリーズ & GFX
まずGFX100Sは価格的にも、スペック的にも選択肢から外れました。1億画素の写真をやりくりするスペックのPCを持ってないし、そもそもそんなに画素は要らないなと。唯一、手ぶれ補正は魅力的ですが。
悩むのが50R。こちらは中判デジタルでありながら、非常にコンパクトな見た目かつ軽量。50Sより安価ながら、スペックはほぼ同等です。USBもtype C採用なのも好印象。
そんな中でも50Sを選んだポイントは3つ。
グリップの深さ
これが1番大きな理由かも。
中判デジタル機を考えたとき、薄いグリップは厳しいなと感じました。購入レンズに後述するGF32-64を選択したこと、将来的にPENTAX 67用の105mm/2.4を使用したいと考えると、50Rのグリップは厳しいです。
もしスナップメインで、小型の単焦点レンズのみであれば、50Rもよかったかも。
軍艦部のボタン・ダイヤル配置
50Rの軍艦部は、パッと見では富士フイルムらしいのですが、よく見ると電源スイッチがレリーズボタンから独立していたり、レリーズボタンの周りがダイヤルになっているなど、微妙に仕様が異なります。
対して50Sの軍艦部は、X-H1と非常に近く(というか発売順序的にX-H1が50Sに寄せた形になる)、他のXシリーズと比べても違和感ありません。
僕はXシリーズも継続して使用を考えていたため、各カメラをシームレスに移行して使えることを良しとしました。その点において、この軍艦部の配置は50Sに軍配が挙がりました。
見た目が好き
最後は見た目。X-Pro2ライクな50R、良いなと思ったんですが実際に見ると結構ぽってりして見えます。対して50Sは無骨なプロ仕様機という見た目。質感も50Sの方が好みです。
以上3つの理由から、50Sをチョイス。後悔なしです。
GF32-64mmF4 R LM WRという選択について
これについては非常に悩みました。何にせよGFX用のGFレンズはどれも高額。いきなり複数本揃えるのは厳しかったです。
悩んだのはこのGF32-64のズームと、GF63という単焦点レンズ。GF63は35mm換算で50mmの標準レンズ。僕にとって最も仕様頻度の高い焦点距離です。GF63購入かなと思ったのですが、今後の中判デジタルの用途を考えるとF4通しで十分だし、色んな焦点距離を試して中判の美味しいところを探していきたいなと思い、ズームを購入することにしました。 まあ追々GF63を買うとして、先に高い方買っといた方が気が楽(笑)
これを後押ししたのはあるオールドレンズの存在もあって、標準単焦点はそのオールドレンズを使うことでバランスを取ることにしました。
ちなみに32-64mmは35mm換算で25-51mmとなり、画角的にはこれ一本でほとんどのシチュエーションがこなせそうです。
追記:レビュー書きました
FUJIFILM GFX 50S + GF32-64mmF4 R LM WRで撮った写真
さて、購入してから2週間ほど。生憎ずーっと曇天だったのですが(笑)、このカメラには曇天が合うかも。
久々にjpeg撮って出しの写真を載せてみます。フィルムシミュレーションはほぼクラシッククローム。中判ならではの立体感、繊細なシャドウ、キリッとしたピント面等を感じて頂ければ…!そしてフジユーザーの方には、このjpegの色表現から富士フイルムを感じ取って頂けると幸いです。
写真は全てflickrにアップしました。絞り値や焦点距離が気になる方は、写真をクリックしてFlickr上でチェックしてみてください。
ついついテレ端開放の写真が多くなってしまいました。作例としてはムラがあることをご承知下さい。
まずはテレ端で撮影した数枚を。今まで僕が使っていたXシリーズだと、50mmの画角を得たい場合35mmのレンズを使用していました。それがGFXだと64mmです。
このギャップは中々面食らうものがあります。すごい立体感。
シャッターフィーリングは最高の一言。一枚一枚、写真を撮っているなと実感できます。
続いてワイド端。1枚目は絞り込んでの撮影。歪みもなく、キレキレの描写です。
最短50cmまで寄って、開放で撮ってみました。F4でも、これだけのボケが得られます。
個人的に、富士フイルムのデジタルらしい色だなと思った4枚。いずれもクラシッククロームだったと思います。
センサー方式は違えど、フジのカメラだと感じられます。
記事途中で振れたとおり、操作性についてもXシリーズとほぼ同じ感覚で使え、戸惑うことはありません。レンズが大振りではありますが、全体のバランスは良いです。
中判カメラと言っても、ミラーレス機です。他社のフラッグシップ級フルサイズレフ機よりコンパクトです。
ここら辺の写真は質感が好きです。特にソファ、そして線香の写真は是非Flickrで大きい写真を。
最後の1枚のピントピークを拡大してみました。後ろの壁の模様までバッチリです。ちょっとやそっとのクロップには動じない画素数、そして解像の高いレンズです。
Godoxのストロボをセットし、物撮りをしてみました。
感動の写りです。なんか海外カメラマンの写真っぽくないですか?笑
やっぱフジのjpegめちゃくちゃ綺麗ですね。これで完結する美しさがあります。
暗所での作例を載せられなかったのですが、ISO3200くらいまでは全然OK。6400でも気にならないレベルです。GF32-64は開放値がF4なので、すぐにISOが上がってしまうんですが、ここまでの高感度耐性があればストレスになりません。この辺については、追々触れていきたいです。
まとめ
以上、GFX購入の言い訳理由と作例でした。
冒頭でも触れた通り、これから中判デジタル良いかもな流れがやってくる気がします。キヤノン、ニコン、ソニーあたりが参入しないとニッチ市場には変わりない(そして多分参入しない)ですが、それでも今よりは確実にユーザーが増えるチャネル。
その一番の現実解として、富士フイルムのGFXシリーズはあります。GFX50S、中古で50万円を切っています。カメラに50万円、少し前までそんなこと考えもしませんでした。
しかし冷静に48分割してみたり、手持ち機材を少し手放してみると、意外と現実的なラインだと言うことがわかります。ああ、僕は50万円という金額に怯んで、その先にある可能性に目を瞑っていただけだったんだ・・・。
利息も禄につかない定期預金に、そのお金を入れておいていいんだろうか?今一度自分に問うたとき、GFXは大きな防湿庫を飛び出し、小さな我が家の防湿庫へとその所在地を変えるのです。