フジのレンズは写りが良い。
Xの魅力をいち早く世に知らしめて、今も尚Xマウントレンズの中でも強い人気を誇るレンズ、XF35mmF1.4 Rです。
僕は既に同焦点距離のXF35mmF2 R WRを所持していながら、このレンズを買ってしまいました。F2を使っていると、どうしても気になってくるんですよね・・・F1.4はどんなもんかと。
購入に至った主な動機は、このレンズで撮った写真のポートレートが良いなあと思ったから。レンタルして試したりもしましたが、人をとても綺麗に写せるレンズだなあと。
XF35mmF1.4 Rの基本スペック
XF35mmF1.4 Rの基本スペックはざっくり以下の通り。
35mm換算50mm付近のAPS-C単焦点としては、標準的なレンズ構成でしょうか
価格は少々高めに感じられるかもしれませんが、実勢価格は5万円前半。中古では更に1万円安く、4万円前半〜といったところ。
はじめての単焦点レンズとして手にしやすいレンズです。
- レンズ構成:6群8枚(非球面レンズ1枚)
- 焦点距離:f=35mm(35mm判換算:53mm相当)
- 画角:44.2°
- F値:F1.4〜F16
- 絞り羽枚数:7枚(円形絞り)
- 最短撮影距離:28cm
- 最大撮影倍率:0.17倍
- サイズ:約 ø65.0mm×50.4mm
- 重量:187g
- フィルター経:ø52mm
- 発売年月日:2012年 2月18日
- メーカー希望小売価格;¥81,000
詳細は公式をチェック!
外観とサイズ
続いてレンズ外観。富士フイルムのレンズは写りはもちろんのこと、見た目も良いのです。また、F1.4の明るさを持ちつつもコンパクトなサイズというのも魅力。
外観|付属メタルフードに拘りを感じる
外箱を開けると、高級感のある化粧箱が出てきます。
こんな感じでレンズが入っています。いくつか富士フイルムのレンズを購入しましたが、他のレンズと比べて、このレンズのパッケージングはかなり高級感があります。
同梱物です。レンズ以外に、レンズキャップ、メタルレンズフード、レンズフードキャップ、写真にはありませんがレンズを包む布が付属します。
X-Pro2に装着。メタルレンズフードがカッコいいですね。これを標準で付けてくるあたり、当時の富士フイルムのこだわりを感じます。
X-Pro2のOVFでもケラレが発生しないように作られてるのも、ナイスなポイント。
サイズ|F2との比較から見る、コンパクトさ
富士フイルムはXF35mmF1.4 Rと同焦点距離のレンズ、XF35mmF2 R WRを販売しています。冒頭で述べた通り、私はF2も所有しています。
F1.4とF2の描写・使い勝手の比較はまたの機会にするとして、意外だったのがサイズ。
XF35mmF2 R WRはコンパクトさも売りなのですが、こうして並べてみるとF1.4もF2に引けを取らないコンパクトさ。
いずれの写真も、左がF2、右がF1.4です。
特に胴の長さは、フードを付けない状態であれば、ほぼ同じです。
重量に関してはF2が170g、F1.4が187gでほぼ変わりません。
作例|XF35mmF1.4 Rで撮った写真
さてさて、約半年の間にXF35mmF1.4 Rで撮影した写真を。ボディはX-Pro2です。写真はLightroomで編集しています。
このレンズの描写はとにかく綺麗です。
まろやかなボケ味がたまりません。そして絞るとソリッドな描写。F4以降で表情が変わると思います。
ポートレート
このレンズを使っていきたいのがポートレート。換算53mm相当のレンズでのポートレートは、被写体との距離感も調度良い。
ついついボケを出したくて開放で撮ってしまいたくなります。とくに注目いただきたいのが、背景が大きく抜けた2枚目の写真。このボケ方がこのレンズの美味しいところだと思います。
また、開放付近での柔らかな描写も特徴の一つだと思います。発色の良さも相まって、人物描写に長けていると思います。
スナップや風景、建物など
オートフォーカスのスピードにはあまり期待できないため、スナップはマニュアルフォーカスでじっくりと獲物を待つ感じが合うかもしれません。
建物や風景もいい感じです。F5.6くらいまで絞って撮ると、このレンズはとてもソリッドに写ると気付かされます。
食べ物や物撮り
人が綺麗に撮れるレンズは、食べ物も綺麗に撮れると思っています。
換算50mm付近のレンズは、テーブルに置かれた食べ物を主張させるのにちょうど良い焦点距離。
物撮りでもいい仕事をしてくれます。F4〜5.6くらいまで絞って、輪郭を引き立たせます。陰影の表現がすごく良い。
良いところと気になるところ
良いところ
良いところは先ほどの外観レビューや作例でお伝えした通り、
・レンズフード含め、クラシカルな外観
・開放F1.4と明るく、まろやかな美しいボケが作れるところ
・それでいて絞るとソリッドに解像するところ
・色乗りが良く、撮影していて気持ち良い
といったところ。
気になるところ
このレンズはコンパクトさと写り、そしてコストパフォーマンスのバランスを追求したレンズだと思います。そんな中で気になる点。
・AFスピードと作動音
・レンズフードキャップがよく外れる
AFスピードと作動音
このレンズのオートフォーカスは遅いです。作動音もうるさい。1番の理由は「全群繰り出し方式」という、最近のレンズにはあまりないフォーカス方式をとっているからでしょう。
【全群繰り出しの特徴】
レンズ群全体を動かしてフォーカスを行うタイプです。フォーカス位置による各種収差の変化が少なく、高画質化しやすい特徴があります。 - Xマウントレンズのフォーカス方法と特徴を教えてください。
レンズ群全体が動くので、フォーカス時にレンズの頭が前後するのがわかります。レンズ群全体を動かすため、高い駆動力が必要ですし、どうしてもオートフォーカスは遅くなります。そして作動音も大きい。通常、オートフォーカスレンズには採用されない方式です。
それでもこの方式を採用しているということは、よほど画質に対するこだわりが強かったのだと思われます。
このレンズは「神レンズ」などと、その描写を称賛する声が多数集まっていますが、同じくらいオートフォーカスが遅いという声があがります。まさにそこは表裏一体なんですね。
もしインナーフォーカス式でこのレンズが発売されていれば、オートフォーカスに対する不満の声はあまりなかったと思います。ただその分、一般的な標準単焦点として埋もれてしまっていたのではないかと思います。
そんなこともあり、個人的にはこのオートフォーカスの遅さは許せてしまいます。ここは感じ方に個人差がある部分であり、このレンズへの満足度を左右する部分だと思います。
レンズフードキャップがよく外れる
レンズフード用にキャップが付属しているのですが、これが本当によく外れます。気づいたら外れています。
何回道端に落として拾っていただいたことか・・・ちなみに1度紛失して買い直しました。
悩ましかったのですが、解決策がありました。下記の記事の通り、レンズフードキャップは使わないという解決策です。
XF35mmf1.4Rの角形フードキャップがとれる問題。最適な解決法はレンズキャップだ!│amedia-online
これで多くのユーザーが救われるはず(笑)
おわりに
購入しておおよそ半年。結構たくさん撮りましたが、「おっ」と思う写真が結構撮れた印象です。
僕は富士フイルムを購入する前にNIKONを使っていた時代も、30mmF1.4という近しいスペックのレンズを使用していました。ほぼ付けっぱなしで使っていました。換算50mm付近でF1台の単焦点というのは、それ一本つけて出かけてもいいなーという気にさせてくれるものです。
このレンズを主に使っていきたいシーンは、発色の良さとまろやかなボケを活かしたポートレート撮影やテーブルフォトです。
ポートレート用の標準単焦点をお探しの方。実際に試してみて、オートフォーカスの遅さと引き換えにこの写りが欲しい!と思えたら、買いです。富士のフイルムシミュレーションとの相性抜群、Xマウントユーザーで無い方は乗り換えたくなると思います(笑)
F2と悩まれてる方、レンタル等でじっくり比較して試してみてください。ちなみに私は比較して試しましたが、結局両方買いました!それが良いと思います!(笑)
この2つのレンズは撮影時のフィーリングがなんとなく違います。オートフォーカスの挙動が違うからか、撮影テンポも変わってくる・・・撮る写真も変わってくる・・・ような。過去に撮った写真を見ると、F2はクールな写真が多くて、F1.4は揚々とした明るい雰囲気の写真が多い気がします(笑)
F2とF1.4、また比較記事書こうと思ってます!では!
XF35mmF2 R WRのレビューはこちら
F2もサクッとレビューしています!こちらもぜひ。